駄文徒然日記

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『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』 髙橋秀実

頑張ってる開成の選手や監督には失礼ですけど、読みながら何度か笑っちゃいました。
いやいや、面白かったです。
恥ずかしながら、私、開成高校って知らなかったんですけど、
毎年200人近くの東大合格者を出している超進学校なんだそうです。
そんな彼らが挑む「甲子園出場への道」…でいいのかな??
本人たちが目指してるかどうかは疑問ですけど、
監督はその気で、読んだ人も思わず応援したくなっちゃいます(^^)
 
<内容紹介>
フツーにやってたら勝てるわけがない。「弱者」はギャンブルを仕掛けるしかないんだ! 練習時間、グラウン
ド、施設――すべてが不十分! それでも東大合格者数1位の超進学校は、7年前に東東京大会ベスト16、今年も
ベスト32に勝ち進んだ。守備より打撃、サインプレーなし、送りバントもしない。どさくさで大量点を取って
打ち勝つべし! ――秀才たちが辿りついた結論は、高校野球の常識を覆す大胆なセオリーだった。
 
 
高校球児と言えば、熱血、友情、努力、根性、爽やか…なんて単語が思い浮かぶんですけど、
どれ一つ当てはまらない彼ら…(笑)
飄々としていて、つかみどころがないんですよね。
進学校の生徒と言うからには、小難しいこと言ったり、常人では理解できない感覚だったりして、
ちょっと恐れおののいちゃう感じなんだろうかと思ったら、
確かに小難しいことは言いますし、共感しにくい特殊な感覚の持ち主たちではありましたが、
彼ら、非常にいじらしいんです~。
身体より頭で野球に接する方が分かりやすいといい、必死に野球たるものを思案しまくりな彼ら。
それが果てしなく遠回りな論法に見えたり、ズレまくりの思考に感じられたりするのだけど、
彼らはいたって真剣。
禅問答か?とも思える不思議な会話の応酬。
筆者と選手のやり取りは、やがて野球の概念を飛び越えていきます(笑)
進学校と言いながら「学校自体がのんびりした雰囲気」なんだそうで、
生徒さんたちもみんな大らかなんですよねー。ほんと独特で味のある雰囲気が漂っています(^^)
 
そしてそんな彼らをよく知る東大大学院卒の監督が、彼らに通じる言葉で叱咤激励するんです。
その言葉の面白さと言ったら…(笑)そしてそれにかぶせるような筆者の突っ込みが絶妙!
「ピッチャーをやるな!」「野球しようとするな!」なんて言ってますからね。
ちょっと意味不明ですけど、それが彼らの戦法であり、彼らの中では理屈が通ってるんです。
(読めば理解できますよ)
野球の思いこみが、色々崩れ落ちていきます。
 
実際に野球をやってる方々の参考になるかどうかは不明ですけど(かなり独特の戦法ですから)、
私のように高校野球に縁のない身としては、無責任に楽しませてもらいました。
高校野球たるもの」という堅苦しい、重苦しい伝統のようなものを吹き飛ばす、
からっとした発想の転換が非常に楽しく、また納得のいくもので、
「常識を疑う」ことの大事さを知った気がしました。
 
ちょっと残念だったのは、本の半分で選手たちが代替わりするんですけど、
前半の方が好きだったので、後半はちょっと尻すぼみになっちゃってたかな。
まあ、ルポタージュの連載物だから、そこら辺は仕方ないことですけどね。
 
でも非常に面白く読みました!