駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『にすいです。冲方丁対談集』 冲方丁

タイトルの通り、冲方さんの対談集です。
 
<内容紹介>
異才・冲方丁、初の対談集! かわぐちかいじ富野由悠季井上雄彦養老孟司夢枕獏伊坂幸太郎天野喜孝、鈴木一義、中野美奈子滝田洋二郎、山本淳子……各界のトップランナー11名との対談を収録!
 
当たり前ですが、対談ってただの雑談ではないんですよね。
気軽に趣味について話し合うなんてレベルではもちろんなくて、
対峙して真正面からぶつかり合うようなすさまじさがありました。
冲方さんはとても謙虚な姿勢なので、雰囲気はそんな物騒じゃないですけど、
言ってることがお互い一つ一つ抉るように深い。
プロ同士の言葉だなーとその次元のハイレベルさに感嘆。
冲方さんも、対談に備えてかなり準備されて向かわれてたようで、そのかける思いが想像以上で驚きました。
この対談にあたって、自らを磨き、武装し、
さらには相手から何をかを奪わんとする、意気込みのようなものをすごく感じました。
一つ一つ対談をこなすごとに、大きなステップアップをされていったんだろうな、と思いました。
 
特に富野さんのとの半年にわたる対談はすごかったです。
正直すごすぎて、ついていけなかったですもん。
例えるなら、ドラゴンボールで、悟空たちが目にもとまらぬ速さで空中戦やってるのを、
地上から見上げてるようなもんですよ。
なんかすっごいことやってるけど、この場所からじゃよくわかんないって感じです(^_^;)
リーンの翼」を全然知らなかったっていうのもありますけど、二人のやりとりは半分理解できなかった。
でもすごく広い視野で様々なものを見られてるお二人の話は、
「そこまでいくのか」という枠をはみ出していく面白さがありました。
 
かわぐちかいじさんとのお話も面白かったです。
実は私、かわぐちさんの作品、全く読んだことないんですけどね…(^_^;)
でも作品を作る過程のお話は、本好きとしてはとても興味深いところで面白く読みました。
冲方さんも最初らへんは対談慣れしてないせいか、ファンモードなんですよね(笑)
 
天野さんとは、イラストレーターと作家という立場のせいか、
どこか対照的で、その対比がとても面白いなーと思いながら見てました。
すごく対照的に見える部分もあるけれど、クリエイターという根っこの部分は共通してるから、
お互い心地よく刺激し合うような対話が楽しかったです。
 
逆に夢枕さんは同じ小説家ということで、いかにも先輩っぽくて面白かったです。
お互いに「わかるわかる」みたいなのが多くて、
夢枕先輩の言葉に一言一言安堵してる冲方さんがかわいかったです。
 
鈴木さんと滝田さんの対談は、天地明察の裏話を見るようで面白く、
中野さんの、光圀伝に関わる鋭い突っ込みもとても興味深かったです。
 
そんな中で、伊坂さんとの対談はラフさがあって読みやすかったですね。
お互いのプライベートに触れる、みたいな感じで。
既婚者同士のならではな突込み合いがあったりして(笑)
奥さんや子供に対しての作家、という視点を面白く読みました。
 
最後に山本淳子さん。
この本の中でも名前があがってる「源氏物語の時代─一条天皇と后たちのものがたり」という本は
私も読みましたので、この対談もとても興味深く読みました。
やっぱ定子と清少納言の関係がキモなんですよねー。
そこに道長とか紫式部とか関わってきちゃって、ほんと想像するだけで楽しい!
この対談を経て、冲方さんが「はなとゆめ」をどんな風に描かれるのかとても興味があります♪
 
冲方さんの、海外在住が長かったという経歴にまつわるエピソードもあちこちで語られてるんですが、
それが本当に面白い。
外から見る日本という、日本を内包した人の視点は、外国の人とも違う視点なんですよね。
 
こんな密度の濃い対談なら、作品一本分投げ打ってでも、する価値があるだろうなと思えます。
冲方さん、これからもどんどん幅広い方々に出会って、
もっともっと魅力的な作品を書いていってくださ~い(ファンの勝手な言い分…(^^ゞ)