駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『光秀の定理』 垣根涼介

垣根涼介さん初読みです。光秀好きなんで、興味持って読んでみました。
とても読みやすくて、面白かったです。…が、私の好みがちょっと合わなかった…(^_^;)
なんか、ちょこちょこ違和感を感じてしまったんですよね(^^ゞ
多分私が、光秀がメインを張ってくれると思い込んで読んだせいだと思います…。
確かに主要キャラではあるけど、ちょっと脇にやられた感が…(-_-)
でも、全体的には面白かったと思います。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
永禄3(1560)年、京の街角で三人の男が出会った。食い詰めた兵法者・新九郎。辻博打を生業とする謎の坊主
・愚息。そして十兵衛…名家の出ながら落魄し、その再起を図ろうとする明智光秀その人であった。この小さ
な出逢いが、その後の歴史の大きな流れを形作ってゆく。光秀はなぜ織田信長に破格の待遇で取り立てられ、
瞬く間に軍団随一の武将となり得たのか。彼の青春と光芒を高らかなリズムで刻み、乱世の本質を鮮やかに焙
り出す新感覚の歴史小説!!
 
昔、歴史に興味を持ちだした頃、永井路子さんの『はじめは駄馬のごとく─ナンバー2の人間学─』
という本を読みまして(ナンバー2の歴史人物の辛口考察本です)、そこで有能な光秀に惚れました(笑)
以来、私の中で、光秀は評価高いんですよねー。
この本でも、光秀の出来の良さがたっぷり描かれてるのですが…主役は光秀じゃなくて、新九郎だよね??
って感じで、光秀が微妙に陰になってるんですよ。主役を張り切れてない…。
物語の前後を語るのは新九郎で、作中のメインの確率問題は、光秀の奥さんや信長は解けても、
光秀は解けなかったわけで、光秀推しとしてはなんとなーく不満の残るところ…。
本の姿勢としては、光秀のよさを書こうとしてるだけに、なぜあと一歩が及ばぬ!!と
もどかしい気持ちで読んでました(>_<)
それが光秀だと言われれば、そうなのかもしれませんが…(^_^;)
というわけで、一番魅力的だった人は、作中一番成長して、光秀や愚息に対して、
川のように柔軟に穏やかに接していた新九郎でした!!
新九郎のエピソードはどれも良かったなぁ。剣の技術を磨いていく過程もとても面白く読みました。
愚息はなぁ、彼のスタンスや言い分はわかるけど、ちょっと鼻について少ーし苦手でした(^_^;)
新九郎の方が大人でしたね(^^ゞ
 
ここに出てくる四つのお椀の問題は、確率論で「モンティ・ホール問題」というらしいですね。
それがこの作品のメインになっていて、歴史小説として読むと、ちょっと違うなって感じです。
そこが異色歴史ものとして受けてるようですが、
がっつり光秀を読みたかった私はちょっと削がれちゃった感じ…。
あと説明がすごく丁寧で、歴史の背景やらがとてもわかりやすかったのですが、
その説明が少しくどかったかな。繰り返す部分も多かったし。そこが少し引っかかりました。
 
と、色々不満点ばかりを挙げてしまいましたが、
作品としてはわかりやすく面白く、おススメしやすい本だと思います。
歴史を舞台にした確率エンタメ作品、と思えばもっと純粋に楽しめたのかも!?
私のように光秀にこだわらず読めれば、とても楽しめる作品だと思います(^^ゞ
 
さて、光秀最大の謎である本能寺の変についは、
ラストで推測が触れられている程度できちんと描かれてはいません。
まあそういう理由もあるかなーって感じですかね。そこはこの作品のメインではないので。
本能寺の変のせいで、彼は一般的な評価を落としてしまっているのが残念で、
もっとこの本で新たな視点からの本能寺を見たかったなぁという思いもあります。
でも光秀押しの本作だからこそ、そこはあえて避けたのかなと思えますね。
やっぱ本能寺の変は光秀らしくないんだよなー…。
 
「光秀は真面目だったから、信長より家康についた方が合ってたんじゃない?」という旦那の言葉に、
しみじみ納得。というわけで私の中では、光秀=南光坊天海説で決まり!ということで(笑)
 
すみません、本の感想というより、光秀語りになってしまいました…(^^ゞ