駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎

伊坂さんが好きと言いながら、伊坂さんの初期作品は手付かずな私…。
「首折り男のための協奏曲」を読む前に、と借りてきました。
(本当は「フィッシュストーリー」もまだ未読なのだけど、もう「首折り~」が手元にあるので間に合わない~><)

伊坂さんの文章が好きだなーと、これ読んでしみじみ感じました。
大筋はイマイチすっきりしない話だと思うのですが、何気なく織り込まれる一文一文にぎゅってつかまれるし、
一見不可思議な情景が伏線となって、やがて解かれていく過程がいかにも伊坂さんらしくて心地いい。
だから伊坂さんの作品って、何度も楽しめるのだと思うなぁ。

<内容紹介>(出版社HPより)
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

いくつかの話が交差点のように、ちょっとずつ絡み合っていく物語。
ここに出てくる誰もが、あまりにもイヤな人やダメな人だらけで、
もう泥棒稼業の黒澤さんが一番まともに見えちゃうんですよね…(^_^;)
こんな飄々とした、人のいい殺し屋とか泥棒とか、伊坂さんならではキャラだと思います。
(そして女性は大体怖い・笑)
殺人、宗教、強盗、拳銃などなど、いつもながら物騒この上ない題材を描きながらも、
淡々とした調子で読ませちゃってくれますね。
「神様解体」とかもう物騒っぷりが半端ないんですけど!

カバー見返しに四つの「ラッシュ」の英単語の意味を並べています。(lash、lush、rash、rush)
人生って人の数だけほんとさまざまで、いろんなラッシュライフがあって、
そしてそれらが交差し織りなす人生は、全てlush life─豊潤な人生、ってことなんでしょうね。

きちんとした起承転結のある話じゃないし、強いメッセージ性があるわけではないので、
こういう作品は好き嫌い分かれるのかな?
伊坂さん好きにはおススメの作品、って感じですね。
私はとても楽しんで読みました(^^)/