駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『首折り男のための協奏曲』 伊坂幸太郎

ひゃー、やっぱ伊坂さん好きだ!
なにがどうすごいって説明できないけど、
そしてこの作品に具体的にすごい何かがあるわけでもない気がするけど、読んでてたまらなく楽しかったです。
伊坂ファンなんですねー私、としみじみ実感。

<内容紹介>(出版社HPより)
首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々! 「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。「首折り男のための周辺」「濡れ衣の話」「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」「合コンの話」の7編。

全編がなんとなく繋がってそうでいて、それにしては中途半端だなーと思ったら、
別々に書いたものを集めたものだったんですね。
それでいてこの繋がり感だったらすごいわ。(もちろん本にするにあたって書き直したにしても、です)
全くテーマが違う話で、趣向も技巧もそれぞれ違うのに、どこか空気感がゆるーく繋がっていて、
それは共通の人物がいるからだけじゃなく、同じモチーフが出てくるからだけでもなく、
作者が一緒だからというわけでもない統一感を感じられたんですよね。
それこそ、「首折り男の協奏曲」という7楽章からなる音楽をまるまる聴いたような。
ラストには素敵な演出もありますしね。なんとも贅沢仕様な一冊です。

惜しまれるのは、またも返却日までかかって読んでいたこと…><これは再読してこその本だと思うのに~。
どれも読み直したくなるような仕掛けがあって、しかもどれも趣向の違うお話たちなのです。
それが散漫にならずに読ませるって結構すごいと思うなー。「合コン」なんてかなり実験的ですしね。
「月曜日から逃げろ」なんてトリッキーで、もう一度きちんと読んで整理し直したかったな。
一応ざっと読み直したけど、これ結構作る方は面倒くさいですよね!?
このトリックを惜しげもなく短編で使っちゃうなんて、太っ腹。(でも長編だともっと面倒そうだ(^_^;))
「僕の舟」も伊坂さんには珍しい恋愛ものだけど、らしくないテーマだからこそ、
伊坂さんらしいちょっと照れ隠し入ったようなお話になってて、こちらも素敵でした(^^)
「人間らしく」も印象に残る話でした。「天網恢恢疎にして漏らさず」じゃないんだ(笑)

何かを強く訴える話でもなく、なにかすごいどんでん返しがあるわけでもなく、
そしてわからなくなっちゃう部分もあったりで、消化不良感を感じる人もいるかもしれません。
割と好き嫌い分かれる作品なのかなー?(友人はいまいちと言っていた…(T_T))
でも伊坂ファンならすごく楽しめると思います(^^)/私はこれ、大好きでした!