駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『ラスト・ワルツ』 柳広司

久しぶりの柳さん。って、このシリーズしか読んでないんですけど…(^_^;)
ジョーカーゲーム」シリーズ、第四弾。面白く読みました(^^)

<内容紹介>
疾走する特急車内、仮面舞踏会、ドイツの映画撮影所――。
加速する頭脳戦、ついに最高潮へ! 
日本最高峰のスパイ・ミステリ! 
疾走する特急車内。「スパイ殺し」を目的としたソ連の秘密諜報機関“スメルシュ"に狙われるD機関の諜報員を描く「アジア・エクスプレス」。華族に生まれ、陸軍中将の妻となるが退屈な生活に倦んでいる顕子。米大使館で催された仮面舞踏会の会場で、なぜか、ある男のことがしきりに思い出された。目に見えぬ黒い大きな翼を背負っているかのような、謎の男。かつて窮地を救ってくれた彼と、いつか一緒に踊ることを約束したのだった。だが、男のことを調べると意外な事実か浮かび上がり……(「舞踏会の夜」)。ドイツの映画撮影所で、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスと対峙した日本人スパイを描く「ワルキューレ」を収録。
"魔王"の異名を持つ結城中佐が作り上げた、スパイ養成組織"D機関"。
世界各国で展開する"究極の騙し合い"に生き残れ。


以下、ネタバレを含む感想です。未読の方はご注意ください!!


「アジア・エクスプレス」
これが一番、D機関らしさが出てて好きでした。
この時代の雰囲気を味わえる描写も素敵です。
降りられない密室状態の列車物っていうのも、いい感じで緊迫感と疾走感が感じられて面白いですよね。
限られた中での、見えない応酬がいいんですよね。
先の先を読み、裏の裏をかく、その仕事っぷりはまさにD機関><
最後のどんでん返しがすごくD機関らしくて、かっこよかった~。

「舞踏会の夜」
ふふ、面白い構成ですねー。
途中まで読み進めて、なんと!結城中佐のロマンス話!?と思いきや、
いやいや、やはり彼は一筋縄ではいかない(笑)
でもあれこれ含め、ロマンチックな雰囲気で楽しめて面白かったです。
名前すら出てこないというのがまた彼らしいですよね。

これがね、ちょっと残念に思いました。
このお話がこの本の半分を占めるくらい長い話なんですけどね、
それにしてはいろいろ冗長で、あちこち中途半端で物足りなさを感じました。
スパイとして雪村がなんだか中途半端だったり、あり得ないほど派手な演出だったりして、
らしくないなぁと首をひねったのですが、結局彼はD機関の人間ではなかったことで納得のオチでした。
でも、それにしては物語が長すぎ…><
他の短編と同じ長さなら、こういう話もありと思えるのですが、
一番メインのような話がこのオチだったってので、最後ちょっと脱力…。
え、これは何?あの映画への皮肉なの?(苦笑)
日独関係や、映画という舞台設定は面白そうだったので、
今度、雪村と情報交換してた彼サイドで、この事件を書いてほしいなぁ。

前作のラストと言い、今回のタイトルと言い、このシリーズもいよいよ終わるのかと心配してましたが、
今回のを見る限り、まだまだ続けられそうですよね。
史実でのこの先のことを考えると、D機関の活躍を描くのも難しくなってくるかと思いますが、
パラレルワールドでもなんでもよいので、もうしばらく彼らに活躍し続けてほしいなぁ。

で、このシリーズ、映画化の次はTVアニメ化なんだそうで!
まだいつ放送とかは決まってないみたいですけど、
この静かにかっこいい世界観を是非表現していただきたいなぁ。(映画はベツモノでしたからね…笑)