駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『陽気なギャングが地球を回す』 伊坂幸太郎

伊坂作品、途中から入った私は、新作ばかり追いかけていて、初期の作品に未読が多いんですよね。
で今回、新作が出たことを機にこのシリーズにようやく着手(^^ゞ

犯罪者が主役なのは相変わらずの伊坂デフォ。
そんなところも、テンポいい会話も、ゆるいキャラたちも、相変わらずなんだけど、
やっぱ昔の作品だなぁと微妙に違和感を感じましたねー。
伊坂さん、文章うまくなったんだなぁ、と改めて思いました。やっぱ今の方が洗練されてますね。
(上から目線ですみませんっ)
でも最近の作品にはない根っこからのゆるさは、昔の作品ならではの良さなんだろうなぁ。
最近の作品はメッセージ性が色濃くなってきてますもんね。
純粋にエンタメ作品として楽しみました!
(今の伊坂さんがこれを書かれたら、神崎がすごいキャラになってそうだ…)

<内容紹介>(amazonサイトより)
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!

個性豊かな陽気なギャングさんたちなんですよね。
ギャングっていう言葉のイメージとは真逆かってほど、飄々としてゆるーい感じ。さすが伊坂キャラ。
周りとは温度の違う彼らの空気感といい、
それでいて仕事に関しては隙なさそうな抜群のチームワークといい、
ちぐはぐ感の奇妙なマッチ感がたまりません。
そしてギャングとしてはあまり必要なさそうな特別な能力を持つ彼らだけど、
自分たちの持ち味をしっかり生かして活躍していくわけです。
そんなとこに伊坂作品らしい爽快感を感じます。

最後のドン返しの展開はハラハラして、そこからのラストへの爽快感はエンタメのお決まりとはいえ、
たまらないですね。
映画向きな展開だし、実際映画化もされたようですが、この独特な味わいは映画じゃ出せないだろうなぁ。

カラマーゾフファンとしては、ドストエフスキーがちらほらネタになっててうれしかったですね。
グルーシェニカーには笑った。そしてその奇特な車も大活躍。
伏線回収で最後スカッとするのは、初期作品ならではですね。

とても楽しんで読めた作品でした。
文庫版あとがきによれば、続編はスピンオフ的な短編集になるのかな?
彼らを一人一人ピックアップして、新作へ突入ってのもいいですね。楽しみ楽しみ。