『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎

面白かったーーー！

ちょっと変わった構成で、完全な長編ではないから、ストーリー的に前作のような満足感まではないんだけど、

でも今回はキャラたちの掛け合いがパワーアップしてて、いいノリになってました。

読後の満足度は前作同様でした！

＜内容紹介＞（「BOOK」データベースより）

人間嘘発見器成瀬が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野は「幻の女」を探し、正確無比な“体内時計”の持ち主雪子は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリの久遠は殴打される中年男に―史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス!伊坂ブームの起爆剤にして、映画化で話題の「陽気なギャング」ここに待望の復活。

表紙の派手さといい、目次のにぎやかさといい、著者の前後のことばといい、作中の広辞苑的な前振りといい、

もういたる所で前面に「エンタメ」ぶりが炸裂してるんですよね。

サービス精神が半端ないというか。

伊坂さんの作品はエンタメ系多いですけど、エンタメの徹底ぶりはこのシリーズが一番かも。

だから読み手としても、しっかり犯罪者であるはずのギャングたちの動向を、

楽しんで追っかけられちゃうんですよね。

辞書風解説も毎回面白いですよねー。伊坂さんの独特な視点が光ってます。

中でも、【役人】「役小角って─の役職名かと思いました」と、

【訪問】「家庭─って、普通、─する側がお菓子を持っていくべきじゃない？」に特にウケました（笑）。

久遠くんかわいいよ、久遠くん。

前作ではちょっとつかみどころがない感じがして、ただの掏摸＆息抜き担当くらいにしか思ってなかったのに、

今回はまあ立派なマスコットボーイに成長しちゃって（笑）。

久遠くんの自由っぷりと響野さんのハチャメチャっぷりが炸裂しすぎてて、

今回成瀬さんと雪子さんがちょっと控えめに感じられましたけどね。

成瀬好きとしては、ちょっと物足りなさもありつつも、

久遠くんがこんだけかわいくて、響野さんが相変わらずだからいっかーって感じです(^^)/

今回は、前作ネタもふんだんに散りばめて、キャラたちの会話をメインで楽しむあたり、

まさにファンのためのサービス作品って感じでした。

久遠くんの掏摸と田中の万能ぶりが特に目立ってて、無敵技のようになってたけど、まあそれもあり（笑）

こんな風にお気楽に楽しめたのには、悪役がまだお手柔らかだったってのもあるかも。

いつも軽妙な伊坂作品ですが、悪役の容赦なさがこの頃のは半端ないんですもん。

伊坂さんの飄々としたタッチでごまかされそうになりますが。

今回は鬼怒川さんという、こわそーな名前のこわそーな方が出てきますが、どこかお茶目なんですよね。

だから安心して読めます(^^)/

手元に三作目もありますので、このまま読んじゃいますよ～。次こそはちゃんと銀行強盗やってくれるかしら？

楽しみ楽しみ♪