『陽気なギャングは三つ数えろ』 伊坂幸太郎

さて、最新作にようやく到達しました。

今作も面白かった～。でももうこの続きはないのね…（涙）

伊坂さん、また続編書いてくださいね～。

＜内容紹介＞（出版社ＨＰより）

陽気なギャング一味の天才スリ久遠は、消えたアイドル宝島沙耶を追う火尻を、暴漢から救う。だが彼は、事件被害者のプライバシーをもネタにするハイエナ記者だった。正体に気づかれたギャングたちの身辺で、当たり屋、痴漢冤罪などのトラブルが頻発。蛇蝎のごとき強敵の不気味な連続攻撃で、人間嘘発見器成瀬ら面々は断崖に追いつめられた！必死に火尻の急所を探る四人組に、やがて絶体絶命のカウントダウンが！人気シリーズ、九年ぶりの最新作！

冒頭の銀行強盗場面の響野さんの演説を、是非その場で聞いてみたいと今回初めて思いました。

一作目も同じように銀行強盗のシーンから始まり、犯罪者たちが主人公か…と、

ちょっと違和感があったのですが、今回は全く問題なく読めました。

もちろんシリーズものなのでキャラや設定をわかった上というのもあるでしょうけど、

やはり伊坂さんの読ませ方がうまくなったのだなぁと、３冊一気に読んだ私は思ったのでした。

しかし、ギャングたちが陽気に銀行強盗という設定に伊坂さん自身も首をかしげるようになってしまったようで、

今作では冒頭の銀行強盗シーン以外はすっかり正義の味方でしたね。

続編やってほしいけど、これ以上銀行強盗を続けていくのは難しいのかなぁ？？

二作目では登場人物の出番に偏りがあったのですが、今作は４人が大活躍で楽しかったです。

ご贔屓の成瀬さんの、人間嘘発見器も大活躍だったし、

成瀬さんがらしくなくアイドルのサイン会に並んでる様子は是非見てみたかったですねぇ。

久遠くんは前作多用されてた掏摸がちょっと大人しくなって、今度は生き物博士っぷりを炸裂させてました。

そんな久遠くんもひたすらかわいい。

人間が全然描けなくて、動物だったらリアル画なんて、どんだけ徹底してんだ（笑）

そこもまた久遠くんらしいなぁ。

響野さんの超プラス思考も相変わらずで笑えるし、雪子さんも車回してかっこよかった！

（もはや体内時計がどうなってるかは知る由もない）

今回の敵役の雑誌記者の火尻はほんと嫌な奴で、困った存在でしたが、

実はそれ以上に怖いな、と思ったのはカジノグループの嫌がらせでした。

火尻はそういうキャラとして読めたんですが、カジノグループのはなんか現実味あって怖かったです…。

集団でやられる痴漢の冤罪とか、おじいちゃんに親切にしようとして、怖い人に絡まれる手口とか、

振り込め詐欺の電話とか、あんなの引っかかったら絶対逃げられないわ…＞＜

亀に弱い大桑さんは嫌いじゃなかったですけどね。最後ちょっと気の毒でしたね。

メッセージ性が濃くなってきた近年の伊坂作品ですが、

このシリーズの、「ただ楽しいだけのエンタメ」ぶりは変わらずなのが嬉しかったです。

また手元に、伊坂さんの未読の初期作品が来たので、読むのが楽しみです♪