駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

陽気なギャングシリーズをたて続けに読んだあとの流れだったので、勝手にコミカルな話を想像していました。
タイトルも不可思議な感じでコミカルにも思えましたしね。
なので、予想外にシリアス展開していくのにちょっと戸惑ったりしましたが、
どんでん返しには見事にやられましたし、これもまた伊坂さんらしいと思える作品で面白く読みました。
しかし、伊坂作品を、最新作や過去作品にさかのぼったりを繰り返してるこの頃なのですが、
伊坂テイストってデビュー作からあまり変わらないイメージだったけど、
こうして見ると少しずつ変化してきているんだなーと思いました。
なんだろ、最近の作品の方が重たいもの扱ってる気がしてたけど、
筆致はむしろ軽く、読みやすくなってるんですよねー。
過去作品を読むと、どこかしら重たさを感じます。
でも作品としての明快さは過去作品の方がきちんとしてるし、どっちがいいとかじゃないんですけどね。
そしてずっと不穏さが付きまとってる感じは相変わらずですね。

<内容紹介>(出版社HPより)
【第25回吉川英治文学新人賞受賞】
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は――たった1冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 注目の気鋭が放つ清冽な傑作。

評判のいいこの作品ですが、それほどハマらなかったのは、私が河崎をよく思わなかったからかもしれない(^_^;)
見た目がきれいというのは私の中ではポイント大きいはずなんだけど、中身が魅力薄い気がして…。
いい人である必要はないけど、色々中途半端なキャラ設定に感じられたんですよね。
で、つかみどころがない気がしてあまり惹かれませんでした。(まあ物語上仕方ない部分もあるかもしれない…)
あと動物虐待ですね。
伊坂作品は、結構残酷描写を挟んでくるけど、今回もペットたちが無意味にひどい仕打ちを受けてます…。
しかし、色々繋がってくるラストはやはり爽快で、裏口、鳥葬などのいろんな伏線が回収され、
奇抜なタイトルや広辞苑のために本屋を襲うという突飛な冒頭シーンが意味を持ってくるあたりは
ぞくぞくっと来ました。
ああ、これぞ伊坂作品の醍醐味。

ギャングシリーズに出てた、祥子さんと響野さん(名前だけだけど)が出ててうれしかったです(^^)
で、名前だけで盛り上がっちゃって、やっぱりギャングシリーズの方が好きだな、と思ってしまいました…(^^ゞ

内容にあまり突っ込んでくとネタバレになりそうなので、簡単な感想になりました。
(読み終えてずいぶん経ってしまったというのもあったり…(^_^;))
なんとこの作品は映画化されているそうで、映像化が難しそうな話なので、
どんな風なのかちょっと気になるのでした…。(濱田君も瑛太君も大好きですしね~)