駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『化け札』 吉川永青

久しぶりの更新です(^_^;)
そして更新しない間に、ブログ開設7周年が過ぎました(^^ゞ
こんなグータラブログですが、今後もお付き合いいただけると嬉しいです~。

さて、久しぶりの読書記事です。今回は戦国もの。
真田だったら、幸村よりも昌幸さん推しの私です。(そんなに詳しくはないのですが)
彼主役の話はこれまで読んだことなかったけど、
戦国物の中で、断片的に知る彼がずっと気になっておりました。
大河ドラマで幸村主役と聞いて、「いやいや昌幸さんの方が面白いんじゃないの?」と思ったのですが、
実際始まってみるとちゃんと昌幸さんが主役で(え?第一部の主役は昌幸さんでしょう?)、
大変面白く見ております(^^)/

前置きが長くなりました。
源平物や三国志ものも書かれていて、ずっと気になっていた「吉川永青さん」。
残念なことに源平物が図書館に入らなくて、ずっと未読作家さんだったのですが、
今回この本と出会い、ようやく吉川さん初読みとなりました。


<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
武田家滅亡時、真田家は周囲に攻め込まれたら一瞬で消し飛ぶ運命であった。昌幸は、主家武田を見限り、北条に降ると見せかけて、織田信長につく。信長が横死すると、旧領回復を画策し、弟を人質に上杉景勝に従属するが、わずかひと月で北条に鞍替えする―。戦乱を変幻自在に立ち回り、世を化かす昌幸の前に立ちはだかるのは、名将徳川家康と大軍勢。あまりにも巨大な敵に、どう立ち向かうのか。そして生き残ることはできるのか―。


この本では、武田氏滅亡後、天正壬午の乱から第一次上田合戦までを描いていて、
ちょうど大河でやってしまったところになるので、大河の予習にはならなくて残念。
でも大河で見た後だからこそ、この複雑なやりとりが多少は入ってきやすかったのかな、と思いました。
大河でも当時の動きを視聴者にわかりやすい3D地図で見せてくれていますが、
この本も巻頭にみやすい地図を挟んでくれてありがたかったです。
真田の領地を含む旧・武田領というのは、強大な国々に囲まれていて、
本能寺の変の後、周辺大大名である徳川、上杉、北条、さらには武田遺臣や地元の国人衆も加わり、
複雑な領地の争奪戦が行われるわけですね。
そこで昌幸さんが、知略を駆使し、君主を次々と変えて、真田領を死守していくわけです。
そこにおける昌幸さんの知略・謀略を巡らせるあれこれは、領地や城に絡むので、
地図は大変重要なわけですよ。
しかし、視覚的に俯瞰する能力はもちろんのこと、
逐一と変わっていく状況をきちんと俯瞰出来る昌幸さんは本当にすごいお人だな、
と読みながら心底思いました。

昌幸さんの弟・信尹がこの本では昌幸さんと双子ということになっていて驚いたのですが、
調べて見るとそういう説もあるそうで。
この作品ではその双子要素が、複雑な立場にある昌幸と信尹を描く、いいスパイスになっていました。
この本ではそういう描写はなかったと思うんですが、当時の双子は忌み嫌われる存在であったらしいので、
信尹メインで彼の翻弄や葛藤を描くのも見てみたいなぁと思ったり、
いっそあの昌幸さんの狸っぷりを、双子入れ替わりのトンデモ設定で描くのも面白そうだなぁ、
なんて思いました(^^)(双子ネタが大好きなんです~)

大河の昌幸さん、非常に魅力的だけど天然ぶりが強くて、「これぞ昌幸」とは思えません。
(でも大河ドラマはエンタメだと思うので、草刈昌幸さんは最高に素敵だと思ってます。)
同様に、本作の昌幸さんも狸っぷりが足りなくて、「これぞ」というようなしっくり感はないのだけど、
主役としては素敵に描かれていてよかったと思います。
どんなに裏切りまくっても腹黒さが感じられない、爽やかな昌幸さん(^^)
敵国は平気で嵌めても、身内には情が厚いんですよね。
そういう領主の魅力に重点をおいて描かれていたので、こんな爽やかになったのかな。
昌幸さんが爽やかすぎたりして、時代物として読んだときには、物足りなさを感じてしまったのも事実ですが、
しかしまさにタイトルの「化け札」のごとく(表紙にはJOKERとも書いてある)、
変幻自在に化けていく様はとても面白く読みました。
真田昌幸の、この領地争奪戦のキーとなる「ジョーカー」という存在感は、
わかりやすく描かれていたと思います。

昌幸さんも素敵でしたが、この本では、信尹と家康のやり取りが好きだったなぁ。
あと昌幸さんがやたら楠流(南北朝時代楠木正成の兵法)を持ち出していたのもうれしかったです。
昌幸さん、「太平記」愛読してたのね(^^)
この話、まだまだ続きを書けると思うので、ぜひ関ヶ原まで書いてもらいたいなあ。