駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『帝国の女』 宮木あや子

「婚外恋愛に似たもの」が面白かったので、姉妹作ということで借りてきたこの本。

お仕事ものはやはり面白いですな。
テレビ局の裏側を覗く今作、ドラマとか大好きな私にとって、なかなか興味深い世界でした。

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
大手テレビ局「帝国テレビジョン」での仕事に昼夜、オンオフの区別はない。恋も夢も曖昧なまま、それぞれの“戦場”に向かう日々―憧れと現実のあいだで揺れる5人の女性の切実な生き様がここにある。仕事、恋愛、夢、希望、葛藤…。等身大の思いが胸に響く、すべての戦う女性たちに捧げる物語。リアルにビター、だけど必ず前を向きたくなるお仕事小説!書下ろしエピソードを加えて刊行!


働く女性たちが主役ということで、働く?辞める?産む?産まない?などの
女性ならではな人生の選択という、王道テーマ。
そういうのは、これまでもいくつも読んできてるんですけど、今作も面白く読みました。
どの道が正解とか、答えはないのよねー、ほんと。

作中の言葉に、以下のようなのがありました。

「子供を産んだ女と産んでいない女のあいだにはその二者を隔つ深い川が横たわる。更にその前段階に、結婚した女と結婚していない女のあいだにも川は流れているし、仕事をしている女としていない女のあいだの川も存在している。どちらが正しいというわけではない。言ってしまえばどちらも正しい。ただ、川の向こうは異世界というだけだ。」

もうホントそう。異世界なんですよ。
お互い、立場が変わるだけで、それまで親しかった友人のことが、途端にわからなくなるような気がする。

実際、私も結婚してから、未婚の友人とどうやって会話をしていいかわからなくなったりしました。
結婚して、子供産んで、となると、共通の話題がどんどんなくなっていっちゃうんですよ。
環境がごそっと変わってしまうと、身近なネタが全然違ってきてしまって。
それまでとりとめもないことをいくらでも話してきた仲なのに、会話が続かなくなるってのは辛かったです。
切なかったですねぇ。
かといって、私はママ友とママトークをするのもあまり好きじゃなかったので、余計にね…(^_^;)
(だからこのブログを始めたのでした(^^ゞ)
男性は、結婚しても子供出来ても、そこまでギャップはないんだろうなぁ。

ここに出てくる、一本筋の通った彼女たちは本当にかっこよかったです。
彼女たちは自分の立場がすごく不安で悩んで、仕事もプライベートも鬼のように大変なんだけど、
その葛藤ぶりが私から見るとまぶしいのです…。
テレビ局という戦場のような職場で、忙しさが山積みで、
ドロドロに埋もれてしまいそうな現場の中で、きらっと輝く瞬間がある。
それは傍から見ればささやかなことかもしれないけれど、
それまで不本意ながらも、身も心も仕事につぎ込んできた当人にとっては、
今までの道を肯定してくれる瞬間であったりするのです。
その場面はとても胸を打つものがありました。
人生の選択に正解はないと思うけど、自分の選んだ道こそが正解だと思える瞬間を目指して、
人は懸命に頑張っているのだろうな。

テレビ業界の裏を覗くようなエピソードも色々楽しかったです。
中でも、テレビ業界で脚本家様があんなに偉いとは、びっくりでしたねぇ。
確かに一視聴者として、キャストと同レベルで脚本家や監督は重要だと思ってるけど、
脚本家にあんなに発言権があると思っていませんでした。
(現実が小説通りかどうかはわかりませんけどね)

辻村深月さんの『ハケンアニメ!』じゃないけど、こういう過酷な職場は、
やはり愛がないと続かないものですよねー。
彼女らの業界に対する愛情の深さを思うと、泣けそうな気がしました。
仕事にこんなに愛傾けてちゃ、そりゃ恋愛上手くいかないわ…。人生って難しいよね、本当に。
彼女らの苦労がちゃんと報われることを願ってやみません。

宮木さんのお仕事小説、面白かったです!
特に女性の方におススメします♪