駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『忍びの国』 和田竜

以前から読もう読もうと思いながら先延ばしにしてましたら、大野君主演で映画化の話が!
借りれなくなったら困ると思い、慌てて図書館に借りに行きました(^^ゞ

面白かったです!もっと早く読んどきゃよかった(>_<)
とっぴんぱらりの風太郎」を読んだ時にも少し思ったのですが、私は忍者ものが好きみたいです(^^ゞ
自覚なかったなぁ。

というわけで、がっつり忍者ものな上、ばっちり歴史もの。ああ、私のツボじゃないですか。

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
伊賀一の忍び、無門は西国からさらってきた侍大将の娘、お国の尻に敷かれ、忍び働きを怠けていた。主から示された百文の小銭欲しさに二年ぶりに敵の伊賀者を殺める。そこには「天正伊賀の乱」に導く謀略が張り巡らされていた。史実に基づく壮大なドラマ、われらの時代の歴史小説

のぼうの城」を読んだ時も思ったのですが、よくぞこういう面白いネタを発掘してくるなぁ。
文章読みながら、「え?それホント?」と思うと、すかさず史料の提示がしてあるんですよ。
村上海賊の娘」ではその史料提示が邪魔なくらい存在感があったのですが、
(私はそれでもよかったんですが、確かに読みにくくはありました)、
今作は物語の邪魔にならない程度に上手に挟んであったように思いました。
それだけ「村上海賊の娘」への入れ込み具合が強かったってことなんでしょうけど、
この「忍びの国」ぐらいが読みやすいのでは、と思ってしまいました。
(でも、読書メーター見てたら、これでも邪魔だって言ってる人が結構いた…)

相変わらず、キャラだてがうまいんですよねー。
敵も味方も、純粋にいいヤツってあまりいないんですけど(笑)、みんな魅力的なんですよね。
伊賀の国の人びと(というか忍者)が人でなしに描かれてるので、ご当地の人は気を悪くしたりしないかしら、
と少々気を揉みつつも、忍者と武士との違いを面白く読みました。
この時期の武士だって、裏切りや謀略などなんでもありですけど、
さすがにこういう忍者と比べると全然違いますね~。忍者の徹底ぶりがすごい!
忍者の、人を人とも思わない様は引いてしまうほどで、その感覚は全然理解できなかったんですけど、
でもあの超人的な体術は、生半可なことじゃ身につかなそうですから、
このくらい思考が極端な方が納得いくよなーなんて思いながら読んでました。
忍者の実態が、どこまでが現実だったのか、非常に気になるところです…。
(それなりにちゃんとして文献で残ってるわけだから、特殊な方々がいたのには間違いないのでしょう)

ダメ息子のイメージ強い織田家・次男(三男説もあり)の信雄さんも良かった~。
確かに今作でもダメっぷりを炸裂させてましたが、
こう弱みをがっつり見せられちゃうと惹かれてしまうんだなぁ~。
信雄さんが弱音を吐いて、不信だらけの家臣団の心を集めた場面には感動してしまった…。

伊賀側の心理操作はあまりにすごくて、ついていけなくなりかけたりも…。
忍者の国は体術だけじゃなくて、策略謀略にも長けているのですね。怖すぎるわ!
(でも、だからこそのあの結果。あれもこれもはさすがに無理ですよね)

お国の存在が独特。
変わり者の忍者の中でも、一人浮いてしまいそうな無門が浮かなかったのは、
お国に対する態度のギャップがあったから。
でないと人間味がまるでないですもん、あの人。
最後の場面と言い、無門を描くために、お国の存在は貴重であったなと思えます。

やっぱ、和田さんの時代物はエンタメ性高くて読みやすいですね。こりゃ、「小太郎の左腕」も読まなくちゃな。
で、今度この作品が実写化されるわけですが、作中の外見の描写では、無門は骸骨のように書かれてて、
全然大野君じゃなくて、どちらかというとかわいらしく書かれてる信雄さんの方が、
似合いそうだなぁなんて思っちゃいました(^^ゞ(あくまで外見描写の話ですよ)
せっかくの映像化なので、忍者と武士の派手な戦いを存分に見せてくれる映画になるといいなぁ。
(評判のよろしくなかった映画「のぼうの城」は見てないままです…)