駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

探偵さえいなければ 東川篤哉

最近あまり本を読めてないのですが、さすが東川さん、そんな私でもさくっと二日で読めてしまいました。

久しぶりの烏賊川市シリーズだー!と飛びつきました(^^)/
相変わらずのゆるい展開、ゆるい登場人物たち、トンデモない事態、なのにどこか本格ミステリで、
いやー、さすが東川作品、と堪能しました。
なんなんでしょうねぇ、グロイのが苦手な私ですが、バラバラ死体を想像して、
ぞくっとする前に苦笑いをしてしまう展開とか、もう東川さんならではですよ。

ただちょっとシリーズとしては番外編感が否めなくて…。
戸村君ファンとしては、彼の出番がほとんどなくて、がっかりでしたし、鵜飼さんすらも影が薄くて、
中途半端に烏賊川市シリーズを読まされて、余計に枯渇感を覚えてしまったという…(涙)

いや、ほんと面白かったんですけどね。
…う、あまり文句言ってると、どんどん新しいシリーズに浮気されてしまう…。
もう、このシリーズを書き続けてくれるだけで良しとしよう!
また次回作、首を長ーくして待ってます!

お久しぶりです…。

色々あって(大したことではない)、パソコンを触る時間が減ってしまったのをきっかけに、
ブログから離れてしまいました。
そうして、一旦離れてしまうと、時間ができてパソコンにさわれても、何書いていいのかわからず、そのまま放置、
ということになってしまったんですよね…><
この場で交流させていただいていた皆様のことが気になりつつ、戻りそびれておりました。

今後も以前のような読書記事を書いていくのは難しいかと思いますが、少しずつ、皆さまのブログを覗かせていただいたり、読んだ本やテレビの感想を一言でも書いていけたらな、と思います(^^ゞ

3月になって、春めいてきましたね。

せっかく再開したのに、読書記事が書けない・・・。
本は読んでるんだけど、記事書くつもりで読まないと、書けないものだなぁ。
ということで、リハビリを兼ねて日常の駄文など…。

以前から何度か登場していますが、私の子は本が大好き。私の数倍のスピードでガンガン本を読んでおります。
先日「風が強く吹いている」を読んだというから、私が盛り上がって、「面白いよね!で、誰が良かった??」と本について語ろうとしたら、返ってきた答えが「ムサ」。
ごめん・・・ずいぶん昔に読んだからムサのエピソードは覚えてないや・・・。王子とか双子ちゃんとか覚えてんのになぁ…。ということで、そこで会話終了。も一回読み直そ。

本屋に行ってもなかなか本を買わない私ですが(置き場に困るため)、珍しく買った本がこれ!

「食パン型付き!日本一簡単に家で焼ける食パンレシピBOOK」!

職場ですすめられて、つい買っちゃいました(^^ゞ
料理が苦手な私ですが、パンなんて一度も焼いたことないですが、そんな私でもおいしく簡単にできましたよ!
焼き立てパン大好きなので、なんかうれしい(^^)

って、ちゃんと読む本も買ったりしてますよ。特典狙いで黒猫シリーズとか、人にすすめるために八咫烏シリーズとか…(理由がゆがんでる気がするのはきっと気のせいです(^^))
あと子どもが欲しがる本も買いますよ。ラノベや攻略本はお小遣いで買わせますが、ちゃんと読むための本は買ってあげます(^^)(特にほっとくと読まなくなりそうな下の子には!)

先日あげた本以降、
窪美澄さんの「すみなれたからだで」と朝井リョウさんの「何様」を読みました。
どちらも彼ららしい短編集で面白かったです。
窪さんは、いつも書かれてる「生と性」がテーマであるけど、毎回切り口が違ってて、全く飽きずに読めます。
朝井さんは、以前の「何者」のスピンオフだというのに、前作を読み返し忘れたので、そのリンクの愉しみを味わえなかったのが心残り。
でも、前作読んでなくても、全く問題なく楽しめます。朝井さんって、奥田英朗さんばりに、老若男女だれにでもなれそうなぁ・・・と思わせるほど、いろんな視点の物語を楽しめます。
今回は期待してた社会人視点が書かれてて、なんかうれしかったです。
これからもどんどん成長してく作家さんなんだろうな、楽しみ♪

と、簡単に感想を済ませてしまいました…。
次読む本はちゃんと感想書きたいなぁ。久しぶりの皆川作品ですから!
ずっと読みそびれていた「アルモニカ・ディアボリカ」です。
「解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯」を読んで、前作も読み返して、万端!のはず…(^_^;)





お久しぶりです~。

ご無沙汰しておりました。
ずいぶん、ブログを放置してしまいました。

11月に最後の記事を書いたまま、年末年始のご挨拶などほったらかしでしたね…。
ずいぶんと遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします(^_^;)

記事を書いてない間にも、変わらず本は読んでおりました。

以下、読んだ本を簡単な感想と共に挙げていきます。

スタフ 道尾秀介   
作品としての完成度は今一つなところがあったけれど、道尾さんらしく「人間」を描いた作品で私は好きでした。

ままならないから私とあなた 朝井リョウ
おお、大好きな朝井君の作品なのにあまり記憶に残ってない…(^_^;)でも面白く読んだ気がする…。

ナミヤ雑貨店の奇跡 東野圭吾
知人から借りました。するするっと読めてじんわりくるいいお話。東野氏は苦手意識あったけど、これは面白かったです。

自殺予定日 秋吉理香子
秋吉さんらしく、がつっとひっぱりこまれてするする読んじゃえる作品。聖母とかに比べると、ライトな印象。中高生向けな感じ。面白かったです。

玉依姫 阿部智里
八咫烏シリーズ」5作目。視点がガラッと変わり、いつもの面子の出番が少ないのでファンとしては物足りなさも感じたけれど、この物語の世界の真相がここで明らかにされるため、重要度は高いです。彼らの出番が回ってきそうな、次巻が非常に気になります!

罪の声 塩田武士
塩田さんを読むのは二作目ですが、前と印象が全然違ってビックリ。かなり重厚なお話になって非常に読み応えがありました。「グリコ森永事件」の真相に迫る作品。ノンフィクション的なリアリティに、フィクションという立場の、子ども視点の組み立ても非常に秀逸。おススメ!!

小説 君の名は。 新開誠
ええ、映画は見てないんですけどね、本だけ読んじゃいましたよ。切なくて、面白かったです。映画も見たいな。

砕け散ることろを見せてあげる 竹宮ゆゆこ
最後混乱しちゃいましたが、ぐっと引き込まれて読みました。若い感性だけど、私にもちゃんと通じるものがあって面白かったです。でもちくちく痛いね、こういうのは。

戦場のコックたち 深緑野分
内容は全く違うけど、中島京子さんの「小さいおうち」を読んだ時の感覚に似てました。戦争を描きながらも、淡々としていて、でもそれが妙にリアリティがあってぞわぞわしてしまう感覚。ミステリー仕立てなのも引き込まれました。秀作です、おススメ。

羊と鋼の森 宮下奈都
評判通り面白かったです。なんだろう、すごく大きな盛り上がりがあったりするようなお話ではないんですが、静かに綴られる淡々としたストーリーの中で、たどり着いた答えが私にはずしっときてとても印象的でした。

絶対正義 秋吉理香子
これもまた秋吉さんらしさ満載の作品。耳なじみのいい「正義」や「優しさ」に、疑問が投げられ始めた昨今らしい作品でしょう。あり得ないお話でも、そこに描かれる毒は現代社会に実際に溢れているものと同じ。ぞわぞわしながら読みました。面白かったです。

と、こんなもんかな。スローペースなので、間が空いた割には冊数いってないですね(^^ゞ

またのんびりペースの更新になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

sinobu



『あきない世傳 金と銀2 早瀬篇』 髙田郁

みをつくし料理帖シリーズ」が大好きで、とてもとても高評価してる私です。
だから、ついついこのシリーズにも期待しちゃうんですが、うーん、やはり「みをつくし」は超えないなぁ…。
比べる対象がなければ、そこそこ面白いシリーズと思って読めたでしょうに、
毎回4編の作品で構成され、それぞれのお話に料理が物語の柱として立っているという、
非常に凝った構成だった「みをつくし」に比べると、ずるずる続いていくだけの話に感じられて、
なんか展開がじれったいというか、物語の引きが弱いというか。
毎回最後に、驚きの展開が用意されてるわけですが、そこに行くまでがなんか長く感じてしまうんですよね…。
江戸の「商い」を丁寧に描く描写は、とても興味深くて面白く読むんですけど、
主人公の幸が立場上、まだ自発的に動けないからでしょうか、いまいち魅力が薄いように感じます。


(以下、ネタバレありの感想です。未読の方は決して読まれませんよう!!)





<内容紹介>(出版社HPより)
学者の娘として生まれ、今は大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公・幸。十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で、「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」と伝える。果たして、「鍋の底を磨き続ける女衆」として生きるのか、それとも「五鈴屋のご寮さん」となるのか。あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。話題沸騰のシリーズ第二弾!



阿呆ぼん…ほんまの阿呆ぼんやったんやね…(涙)
この先、きっと幸の影響を受けて彼も成長していって、
いずれは二人で五十鈴屋を盛り立てていってくれるのよね?と思って読んでたんですよ。
なのに周りの足を引っ張ってばかりで、
「いくら阿呆でも、もうちょっと同情を誘うようなダメ男なりの愛嬌とかみせればいいのに」と、
愛想をつかしそうになっていたら、まさかの捨て駒だったとは!!!
だから、いつまでたってもこんなイヤーな人だったんだ…と納得はしましたが、すっきりはしませんでしたよ…。
息子と言えど、甘やかしてしまう富久にすら残念感を覚えてしまったし…。
ある意味、捨て駒だった阿呆ぼんは幸の踏み台役だったとも思えてくるわけで、いい気がしないんですよねぇ。
次にくる惣次もなぁ…兄の死になんか関わってそうで嫌なんだよなぁ。
なんか妙な伏線っぽいものがあった気がするけど、あれは私の勘違いだと願いたいです…。
(返却間際で慌てて読んだから定かではない…)
一巻では、幸は智ぼんといい感じだったのに、彼は早々に出ていっちゃうしね。
本当はこの智蔵とくっついてほしかったけど、もうこの展開じゃ、ちゃんと惣次と添い遂げて!って思います…。
一巻で、幸は自分の理解者を次から次へと失っていましたが、今回もまた大事な人が離れていきました…。

とにかく辛い展開が多いんですよね…。
「みをつくし」の澪ちゃんも苦労は多かったけど、1話ごとにちゃんと報われていたから、
気持ちよく読み進められていたのに。

と、期待が大きいだけに辛口な感想になってしまいました。
でも読者メーターとか見てると好意的な方が多いので、私は少数意見なんでしょうね~。
とはいえ、この時代の町人文化にはとても興味があるし、呉服の仕事の描写なんてすごく面白いし、
髙田さんの文章は読みやすくて好きだし、ちゃんとこの先も追いかけていきますよー!

『アカガミ』 窪美澄

窪作品は、「生と性」というテーマで基本描かれているのですが、
結構幅広くいろんな手法でそれを見せてくれます。今回はなんとSF風に描かれています。

<内容紹介>(amazonサイトより)
若者の多くは恋愛も結婚もせず、子どもを持とうともしなかった。
彼らはひとりで生きていくことを望んでいた──。
渋谷で出会った謎の女性・ログの勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。しかし、これまで異性と話すことすらなかった彼女にとって、〈国〉が教える恋愛や家族は異様なもので、パートナーに選ばれたサツキとの団地生活も不安と驚きの連続だった。それでもシステムに手厚く護られた二人は、次第に恋愛やセックスを知り、「新しい家族」を得るのだが……。
生きることの痛みと選択、そして輝きを見つめる衝撃作! 


設定がすごい。
一見とんでもなさそうなのに、読んでみると、現実にすごく差し迫った問題で、
こういう未来もあり得る?という気になってきます。
恋愛に淡白というか、無関心な若者が増えています。
地方自治体がせっせと婚活イベントをセッティングしてる昨今ですからね。
実際、私の知り合いが、作中に出てくる若い人たちと全く同じことを言ってましたもの。
生にも性にも執着がなくて、生きてる理由が分からない、云々…。

作中に出てくるこの「アカガミ」というシステムの至れり尽くせり感が半端ないです。
出会い、同居、妊娠、出産に至る過程で、手厚く支援してくれます。
これを読みながら、最近はその至れり尽くせり感をいろんなものに感じるよなーと思いました。
手ぶらでキャンプとか、温泉とか、釣りだとか、もうそこに行けば全部用意されてるし、
例えば、最近のベビー用品一つとっても、私の頃にはなかった様々な便利グッズが溢れています。
なんかもう自分で何も考えなくてもいい社会になりつつある感じですよね。
だからこの「アカガミ」システムは、一見トンデモなさそうだけど、
今の社会の先に存在しうる気がしてくるのです。

しかしこの究極の「アカガミ」システムにまでなってしまった理由の一つに、
現代のこの「至れり尽くせり」があるんじゃないかと思うのです。
世の中が便利さを追求して、人びとが何もかも用意されていることに慣れ、
受け身が基本になってしまった若者たちが、楽な方に流れ、無気力になっていったんじゃないかと。
そうすると「アカガミ」は大いなる矛盾なようで、なんだか痛烈な皮肉に感じてしまいます。

「結婚出産」という煩わしさには、意味があると思うんですよね。
相方を得る、子を得るということは、自分の存在を認めてくれる人ができる、
自分の役割ができるということでもありますから。
子はかすがいと言いますが、それは夫婦間を繋ぎ止めるかすがいという意味だけではなく、
現世に繋ぎ止める役割もあるように思います。
実際、先述の知り合いも、結婚出産したら以前のような愚痴は言わなくなりましたし。
(というか、言う暇も考える暇もない状態ともいう…)
誰しも「結婚出産」すべしと言いたいわけではなく、
世の中、昔に比べて選択肢が自由になりすぎて、変に楽な方向に流れてないかなと心配してしまうのです。

なので、作中の以下の言葉はとても印象深かったです。

「子宮は子どもを産むためにあると思うわ。その機能を使わなかった人間はね、狂っていくしかないんだわ。恋愛や、出産や、子育てに費やされなかった時間を甘く見てはいけない。その時間は女に必要なものよ。その時間が全部、自分にだけ向けられたとき女は狂うの。そういう女を私は今までたくさん見てきた。体にそれがある、ということは、何か意味があることなのよ」

ここでは女性のみについて言っているし、「狂う」だなんてかなり暴論ではあると思いますが、
「子宮には何か意味がある」という言葉は共感を覚えました。
結婚をして子供を産むという道は、過去から命を継いで生まれてきた人間としての、
一つの義務でもあると思うんですよね。
個人にはさまざまな事情があるでしょうから、一概に皆すべしだとは思いませんが、
楽な方に流れていきがちな現代社会で、「結婚出産」の選択肢をないがしろにしてしまうと、
どこかで手痛いしっぺ返しを食らう気がします。(すでに少子化問題とかおおごとになってますけどね)



(以下、少々ラストに触れた感想です。未読の方はご注意を。)



さて、この「アカガミ」システム。
何も考えないままにレールに乗って快適に過ごしていると、突然梯子を外されます。
でもそこから本当の人生が始まるんですね。
しかし、「さあ、これからどうなる?」ってとこで終わってしまって、ラストが中途半端でした。
まあ、こういうSFものはそんな感じになりがちですけど。
「アカガミ」システムの書き込みが足りなくて、
結局どういうシステムなのかイマイチ判明しなかったところが消化不良ですし、
話も途中でぶち切りのように感じましたが、まあ窪さんの言いたいことは描ききれたんだろうな。
ログって結局、何者だったんだろう…。

タイトルの「アカガミ」。
召集令状である赤紙を元にした言葉でしょうが、赤(ちゃんの)神もかけてるのかなーと思いました。
赤ちゃんを創り出すシステムですもんね。怖い怖い…。

窪さんにしては性描写がソフトで読みやすくなってましたね。テーマは相変わらず「生と性」なんですが。
そこに進歩というか変化を感じました。
もう過激な性描写のアピールがなくても、性を語れる立場を確立したんだろうなぁと。
まあ、個人的な勝手な感想ですが。

作品の完成度としては、当たり外れがある気がしますが…(^_^;)、
窪さんの書かれるテーマは私にとってとても興味深いので、これからもさらに追い続けます(^^)/

『俗・偽恋愛小説家』 森晶麿

「偽恋愛小説家」に続く第二弾です。童話解釈を交えたミステリで、前作を面白く読みました。さて、今回は?

中学生の時に、童話にハマりました。
幼児向けで読んでた単純なお話が、分厚い童話集で読むと、
結構残酷だったり、不可思議だったりな要素が増えてとても興味深く、その毒っ気に惹かれていました。
平気で首やら足やらちょんぎったり、悪いおばあさんを殺してしまってめでたしめでたしとかって、
すげーなおい、とツッコミ要素満載でした。
そういう色んな違和感を、「童話ってそういうもの」としてその時は読んでたんですが、
この本ではその違和感を「解釈」していきます。

<内容紹介>(出版社HPより)
「白雪姫」「ラプンツェル」「かえるの王さま」「くるみ割り人形」――誰もが知っている、おとぎ話に隠された、恋物語と事件の≪真相≫を“偽"恋愛小説家&駆け出し編集者コンビが読み解く連作恋愛ミステリ第2弾。 
恋愛小説家・夢宮宇多は、デビュー作『彼女』が話題となり次回作が待ち望まれていた。ところが、担当編集者の月子が催促をするものの、夢宮は次回作の『月と涙』の原稿の続きを、書いてくる気配がない。そのうえ、「夢宮が女性と仲良く歩いていた」という話を、月子は同僚から聞いてしまう。 現実とリンクする夢宮の次回作のラストで、主人公の青年は「月」と「涙」どちらを恋の相手に選ぶのか……?続きが気になりながらも、月子はヤケを起こし、お見合いを引き受ける。その相手は子供の頃に憧れていた人だった。

◆第1話「白雪姫に捧ぐ果実」
豪華客船【スノーホワイト】で、スキャンダルの最中の美人女優が突然死してしまう。
◆第2話「ラプンツェルの涙」
ラプンツェルの魔女さながらに、歌姫を大切に育ててきた演歌歌手の女。歌姫の裏切りに、女の愛憎は……。
◆第3話「カエルの覚悟と純愛と」
大物恋愛小説家の屋敷に招かれた、月子。カエルを偏愛する作家は、胸の奥底に隠している【秘密】があった。
◆第4話「くるみ割り人形と旅立つ」
夢宮の元想い人・涙子が誘拐された!? 夢宮と一緒に、彼女を救出しようと奔走する月子だが――。



森先生の本は、割と恋愛パート重視で読んだりするのですが、
今回は恋愛部分はほぼスルーで読んでしまいました(^_^;)
月子…今回は全然感情移入できないよ…。
夢センセに惹かれながら、幼馴染のお兄ちゃんの求愛に折れそうになるって、設定としてはありがちだけど、
お兄ちゃんはどこか嘘くさいし、夢センセははぐらかしてばっかりでわけわからんままだし、
何より月子というキャラがなんだかブレブレで、読者としては惹き込まれませんでした…。
もはや童話解釈とシンクロさせるために、月子ちゃんこんなにブレブレになっちゃってるのねなんて、
ついメタ視点で読んでしまったくらいです…。
というわけで、今回は童話解釈をメインで楽しみました。そちらはなかなか読み応えありましたよ(^^)/



(以下、ネタバレありの感想です。未読の方はご注意を!!)



第1話「白雪姫に捧ぐ果実」。
「白雪姫」の話、そうそう、ベッドのサイズが合わないのよ。
当時はそこはスルーして読んでしまったけど、確かに不思議だわ、と思いました。
童話って細かく読みだすと違和感だらけなのだけど、それ故にすべてスルーになってしまいがちなんですよね。
こうやって改めて紐解かれるのがたまりませんな。
ただ小人の一人が鏡という真相は、一つの可能性という感じでそこまで納得はしなかったですけど。

第2話「ラプンツェルの涙」。
ラプンツェル」の解釈はいまいち納得いかなかったなぁ。XとYだなんてぴんとこない。
でも本編の真相の方はなかなか面白く読みました。
弟子の活躍にそこまで嫉妬深いのも、大御所にしては器が小さいなぁと思っていたけれど、
恋愛感情が絡むというなら、納得できました。
ステージの無茶な進行など、色々無理やり感はあるけど、森作品だから細かいところは突っ込まない(笑)。

第3話「カエルの覚悟と純愛と」は、童話解釈も本編もよかったですねぇ。
「かえるの王さま」の話はあまり知らないかな、と思ってたんですが、読んで思い出しました。
そう、お姫様、カエルを壁に投げつけるってスゲーってびっくりしたんだった。
んで、ハインリヒ(家臣)って、突然出てきてなんだこいつ!って思ったんだ、って。
もうこの解釈読んだら、それしかないって思えちゃう。
もし中学生の時にこの解釈を知ったら、めっちゃ興奮しただろうなぁなんて思いました(笑)
その頃にやおいという世界を知ったもの。(当時はまだBLとは言ってなかった)
童話に絡めた事件の真相もなかなか面白く読みました。

第4話「くるみ割り人形と旅立つ」。
くるみ割り人形」、これも知らない話かなと思ったら、少し覚えがありました。
作者の背景などは全然知りませんでしたが。バレエの曲の方が広く知られてますよねー。
この誘拐の真相はすぐに気づきましたね。
だからますます月子視点で話が読めなくて、感情移入しそこないました。
だから、月でも涙でももうどっちでもいいよ、とちょっと投げやり気味になったり…(苦笑)

あと、作中作にも違和感を感じました。
夢センセの書かれるお話、うっとりする文章みたいな記述があったけど、
本編と作中作の文体に全然違いを感じず、恋愛小説っぽくは思えませんでした。
(文体の違いがないのは、前作を踏まえても問題ないのかもしれないけど…)
そんな点で、夢センセも魅力減。でも「悪いのは意地だけ」というセリフは夢センセらしくて好きでしたけど。

そんな感じで登場人物に対して愛情が薄れてしまった今作ですが(^_^;)、
童話解釈はやはり好きですので、続編があるならまた読みたいなぁと思います。

余談。
黒猫シリーズ5周年ということで、ツイッターで丹地センセイがお祝いイラストを描かれていて、
それに森先生がセリフを付けています。ファンの方必見!